風立ちぬ

ヤマユリ

日が経ってしまいましたが、参院選の投票をした後、「風立ちぬ」を観に行ってきました。

映画館では入館時に「映画をご覧になったあとにお読みください」と記された二つ折りの紙が手渡されました。 以降はそれに対応する形で書こうと思うので、作品をご覧になってからお読みください。


紙を開くとプロデューサーの鈴木敏夫さんのメッセージがこう書かれていました。

映画を見てくれた皆さんへ
「風立ちぬ」を見て、どういう内容だったのか教えて下さい。どう見てもらえたのか、知りたいのです。
よろしくお願いします。
たしかに、感動を与える素晴らしい作品だと思いますが、受けとられかたはいろいろありそうでもあり、BACも他の人がどのように受け止めたのか知りたいと思いました。また、自分自身がどう受け止めたのか再考を迫られるものでした。

鈴木さんの質問に一言で答えるならば、戦時中の一人の技術者の生活を丁寧に描くことを通して、科学技術への希望を表現した作品であると思いました。

また、これまで度々宮崎駿監督が描いてきた文明と生命の相克が本作でも描かれていましたが、これまでにないくらい鋭く現在の日本人に向けて突きつけてくる作品でした。

というのも、現代の世相を暗示して近代日本を描いているように感じられました。

具体的には、映画のワンシーンの関東大震災。非常停止した蒸気機関車から「爆発するぞ」と逃げ惑う人々を横目に、二郎は「爆発するはずないのに」と呟きます。
映画を観た人であれば、自ずと東日本大震災と福島第一原発を想起したことでしょう。

昨今、ちょっと科学技術のニュースがあると日本の技術はすごい!と安易に自画自賛しますが、映画に描かれた技術者はいかに自分たちのエンジンが非力であるかを理解していました。追いつけ追い越せで欧米のまねをしつつ発展させながらこれまでやってきたこと、そのために莫大な投資を行ってきたこと、そして技術はすぐに時代遅れになることをこの映画はさりげなく伝えています。
また、技術者の倫理の問題。基本的には技術者は成果とされること、価値ありと思えることに邁進するのみです。作中、二郎は才能と美学のある人物として描かれているから魅力的にも映りますが、二郎の妹から非難されるとおり「薄情者」かもしれません。そんな二郎に惚れる菜穂子という構図もこれまでの作品にはない生々しさがあってギクリとさせられますが、もし二郎が原発の設計者という設定だったとしたら?

技術をよく知っている人、知り得る人、わからない人、それぞれに投げかけている問いがあるように思います。

話は逸れますが、最近比較的BACに身近なニュースとして、製薬会社の社員が論文作成に当って恣意的にデータを取捨していたのではないかという疑惑が報道されていました。BACが報道を見聞きした感想は、カルテが散逸していたのでは本当に不正があったのかわからないけれど、これだけ大々的に報道されているということは、追試した限り論文と同等の結論は得られなかったのであろう、ということでした。
BACが職業として行っている実験の結果は薬の承認申請に用いられるものなので、生データは最低でも10年は保存することになっています。それと比較して学術論文のデータ保存のルールは曖昧かも知れません。

しくみづくりというのは本当に重要だと思います。
BACが働いている会社が存在するのも、製薬会社の内部データだけでは客観性に欠けるため、外部に試験を委託するしくみをつくってきた経緯があります。とはいえ、資本で経営されている会社である以上「背に腹は代えられないから」論理は常に存在します。実際、BACが知るなかでも白を黒にするようなことはないけれど・・・とお茶を濁したくなることはあります(などと書いてしまってよいのだろうか?)。
そして「背に腹は代えられない」のは誰しもゆえに、不正の責任を強くは問いにくい心情も働く。
労働者の一人としてのBACの実感は、不正を招かぬよう、また不正を誤摩化したりしないで済むように日々汗水垂らしているようなものです。また、そのために作業を標準化すること(SOPの作成など)にもかなりの労力を注いでいます。
組織の健全性を測るには、どんなSOPを持っていて、どれだけそれに忠実であるかをチェックしたらよいかも知れません。

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