ハカセ

博士号とる?とらない?

友人のモトさんが休職して博士号を取るとのことで、こんな記事を書いていました。それに応えて、BACの思うところを書いてみました。

まず、基本的に定員は教官が指導出来る人数にすればよいのではないかと思います。そして自分が知っている範囲の研究室では博士課程の学生が多すぎるという印象を受けたことがありません。
博士号を取得したら安泰ならみんな行くだろうけれど、そうではないことぐらい博士課程に進む人は承知の上でしょう。

それから、博士号保持者に民間の就職先がないわけではありません。
以前勤めていたベンチャー企業に今も残っている社員3人のうち2人は博士号保持者です。
現在籍を置いている派遣会社にも博士号保持者はいます。また、勤務先の製薬会社も博士号取得者を採用しています。BACが働いている研究室の規模は40人弱ですが、博士号保持者はたぶん半分くらいいると思います。一部の人は入社してから取得しています。

ところで、研究室のこの一年の異動を振り返ると、他の部署へ出て行った人6人、他の部署から入ってきた人1人、新卒採用2人(たぶん博士)、一時出向(海外)1人、入れ替わりの出戻り1人、産休取得2人、派遣採用2人です。
もう少し人材の流動性を高めてもよい気がしますが、それなりに合理的に現在の程度に落ち着いているようにも思われます。
というのも、ひとつには人手は不足しているけれど研究室ごとに自由な採用権限があるわけではなく、せいぜい年に1人か2人採れればよい方。それゆえ教育した人はなるべく囲っておきたいというのがありそうです。
会社を辞める人はほとんどいません。恵まれた待遇ですからね。
解雇すべきひどい人はほとんどいません。それなりの選抜を行っていますからね。
つまり、会社の枠を超えた人の移動はきわめて少ないです。
世代交代のための新卒採用も少ない中、中途で外部から入るためには経歴とテーマがジャストフィットするケースに限られるようです。それは、BACが他の製薬会社に応募したときにも同じことを言われました。モトさんも今から学位を取るのであれば、今後直接的に役立つテーマを選んだ方がよいと思います。

というわけで、博士号保持者を優遇する企業がないわけではありませんが、フレキシブルな雇用と解雇に消極的な日本の企業風土(あるいは法律?)にあって、民間の採用枠もかなり限られていそうです。博士号保持者の需要に対して供給が本当に多すぎるなら、削減した方がよいと思います。

ただ、中西先生が指摘するように、博士課程の学生は投稿論文を書かなければいけませんが、それは学問的な方法を身につけると同時に公の仕事をするという意味もあるでしょう。博士号を持っていない自分が言うのもなんですが、決してムダなことではないと思います。



冒頭に挙げた本は、BACの大学院での指導教官の奥さんの師匠が書いたものです。たしか、この問題についてとりあげていて、それなりにおもしろかった記憶があります。
よかったらどうぞ。

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コメント(4)

もとです。誤解を与える書き方だったかもしれませんが、僕が狙うは修士で、博士を習得するつもりはないんです。

>研究者を志すのもいいが、そうでなくとも、研究を1回経験してみようという気持ちで博士課程に進んでもいいと思う。ただ、博士課程の方でまじめに研究をしている人には、生活費を出すことは必要だと思う。

生活費、大学院5年間奨学金をもらうと、それだけですごい額の借金を背負って社会に出ることになりますよね。大学生の段階で、「経験しよう」という気持ちで行ったらまずいんじゃないかなぁ・・・
むしろ、一度社会へ出てから、再度勉強したくなったら戻れるような制度を考えたほうが、いいように思います。このほうが覚悟は固まると思うし!
 ま、法科大学院とか、会計大学院とか、その手の制度設計はみんな失敗してますけどね。

モトさん
すみません、修士でしたか。
早とちりでした。

奨学金に関しては、研究職についたら返済免除とかありますよね?
論文書いたら一部免除、とかあってもいいと思いますけどね。

確かに、ずっと学生生活を続けても、社会の要請ってわからないことが多いし、一度社会に出てからスキルアップのために大学院に行くという選択があってもよいと思います。
実際、それなりの企業はそういうことをバックアップしていると思います。

BACも前の会社を辞める前に、社長に薦められて大学の先生と非公式な面談をしましたが・・・会社に援助する十分な余力があるように思えなかったこと、テーマに気乗りがしなかったこと、年齢のこと、取れる自信があまりなかったことなどを踏まえて、止めました。

せっかく社長が薦めてくれたのなら、兵隊が会社の余力まで心配してあげないでも、自身のスキルアップのためがんばってみても良かったんじゃないかな?今の世の中で、忠誠心を持っていても会社(組織)は答えてくれないと思うから。
僕のところはそれなりの企業だと思うけれど、会社には「キャリア上はマイナスで、スキルアップの意味は全くありません」とはっきり言われました。2年の間に取れるかも怪しいものです。でも個人の経験としてはプラスだと思ってます。(=趣味?)
 年齢って、BAC氏はそんな年齢でしたっけ?

奨学金、研究職についたら免除って、今もあるのかなぁ?大学院の定員を増やし、卒業後の進路が多様化している(せざるをえない)なかで、研究職につけた人だけ優遇って、おかしいと思うな。

モトさん
忠誠心とかではないです。
しばしば休業していた会社ですから。本当に学費が途中で出なくなったら涙でしょう。モトさんの親方みたいな帰るところはBACにはないので。

そんな年齢ですよ。

しかし本当にキャリア上マイナスだとしたら、趣味ですね。
もったいないので、成果をブログで報告してくださいませ。

それから、確かに研究職に就い人だけ免除というのはおかしいですよね。
多額の税金を投入している理系の国立大学で学ぶ以上、成果を国に還元しろという理屈なんでしょうが、今の時代にはそぐわないですよね。民間企業の発展が国の繁栄につながっているんですから。

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