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薔薇色の豚

BACが今月から勤めることになった会社の営業所はTKB市の隣にある。

通勤路は、かつてBACが通った道。大学院生だった8年前を思い出す。

 

早朝8時過ぎ、研究室の同期が運転する車の助手席に乗り込む。
毎週ほぼ2日のペースで、実験材料の動物細胞を分けてもらうお手伝いとして、BACはある場所に赴く。
工場の敷地に車を乗り入れると、20人くらいの従業員が、8時半始業にあわせて準備するべく、いそいそと立ち回っている。
BACと同期も、車を停めるとすぐにトランクを開け、道具を取り出す。
ゴム製の白い長靴と前掛け、使い捨てのゴム手袋を身につけ、水筒と手術用のハサミを確認する。
工場の中に入ると、従業員たちはそれぞれの持ち場につき、準備を整えている。ある人はホースで水を撒いて床をならし、ある人は腰につけた研ぎ棒で包丁を軽く磨き、ある人はラインの機械を試運転している。
部外者の私たちも、笑顔で「おはようございます!」と挨拶を交わし、ラインの片隅にスタンバイする。すぐ隣には、マスクをした検査係の獣医さんが立っている。

そう、ここ豚のは食肉工場。屠殺場とも言う。
豚の糞尿の匂いと、血の匂い、それらが殺菌のための巨大な蒸し器から出る湯気と入り混じり、独特な臭気となって漂っている。

始業のベルと共に、工場全体が動き出す。 

柵の扉が開き、蹴りだされるようにして仔豚たちがラインに送られていく。
おそらく、電気ショックで気絶させた後に首を落としているのだろう。「ぷぎぃーー!!」という断末魔の鳴き声が響き渡る。
首と四足がまず落とされた後、胴体は腹を割かれ、逆さまに吊るされてラインを流れてくる。
それとは別のコンベヤーに載せられた頭部は、BACのすぐ近くまで移動してきて、プラスチックのかごにゴトリと音を立てて落ちる。
吊るされた胴体からは、まず心臓と肺が切り離され、BACの背中側のコンベヤーを流れてくる。
また、食道から大腸にかけての臓物の大きな塊が、目の前のステンレスの台の上をゆっくりと滑ってくる。
私たち2人の仕事は、その塊を手で探って卵巣を引っ張り出し、それをハサミで切り離して、水筒の中に放り込んでいくことだ。
〆たての動物の内臓は、生暖かく、熱いとすら感じられる。
よいものだけを選んでとりわけるのだが、臓物の固まりは絶えることなく流れてくるので、20分ほどで水筒はいっぱいになる。
それぞれの持ち場で手際よく包丁を振るう従業員の方々にお礼の挨拶をしながら、一足先にその場を後にする。

飛沫となって前掛けに付着した血を水で洗い流し、 そのほかの道具と共にトランクに押し込む。そして、大学に戻って卵巣から細胞を調製する前に一息入れるため、ファミレスでモーニングを食べる。

そんな、BACにとっては非日常的な課外活動が、およそ1年間ほど続いた。
初めて目にしたときは、いくらか衝撃を受けたその光景にもすぐに馴れ、従業員のおばさんとも始業前に雑談をするようになった。

 

その食肉工場のお世話になる前、研究室の教授からはこう戒められた。
「こういう職場で働く人は差別を受けることがあるものだけれど、君らは態度に十分注意するように」
と。
差別は不注意によって起こるものではなく、無意識の序列によるものだから、注意もへったくれもない。
実際にそこで働く職業人たちの、淡々とした日常の仕事ぶりをこの目で見れば、100g88円で手に入るローズポークに有り難味が増しこそすれ、価値が下がることなどありえない。
むしろ、自分が取り組む研究テーマにどれほどの価値があるのかと考えずにはいられなくなるものだ。

porcin

食の恵みに感謝。
(m_ _)m)))ペコリ)

TKBの豚はブランド名「ローズポーク」です。
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コメント (8)

K:

実験試料手に入れに土浦方面に行ってたのは知ってましたが,こんな感じだったんですね.

匿名:

スゴイ仕事してますね
きかい有りましたら お茶しに
くるといいですよ。

obasann:

R君の研究室はそのような実験材料を使っていたのですか!生物資源学部ですからね。もっともですけれど。そのような体験を全部肥やしにして現在のRくんが在るのですね。

BAC:

Kくん
そう、こんな感じでした。
あまり話したことはなかったですよね。
こういうのは、話すより書いたほうが伝えやすいですね。

匿名さん
すごい仕事というのも変なんですが・・・考えさせられるところはありましたね。
近いうちに、お茶しにいきます^^

obasann
動物細胞を扱う研究室でしたからね。
通常は凍結保存した細胞を使うところが多いのですが、訳あって、新鮮な細胞が必要だったんです。
日常生活とするのと、一時的に出入りするのではまた違いますけれど、BACにとっては、今となっては貴重な時間でしたね。

しょう:

注意もへったくれもない。

ですよね、ほんとに^^
無意識は無自覚なだけに、相手の痛みに気付けない
自分も例外ではない、と自覚しながら
ちゃんと自分を見つめていたいですね

BAC:

しょうさん
そうですね。違った意味での注意が必要ですよね。
例えば、食肉に全く価値を感じない人がこの記事を読んだらどう思うのだろう?と考えてもみます。このような記事を書くことはベジタリアンの価値を貶める、配慮に欠いたことなのでしょうか?
あるいは、見たもの感じたことをそのまま書くのは、その場で働く人にとっては不愉快なことになりうるかもしれません。

と、ここまで書いて、うまくまとまりそうにないので、いずれ機会を改めて・・・。

obasann:

 ところで写真に写っているのは木彫りか何かの豚なのですか?とても良くできているけれど何?

BAC:

obasann
これは、TKB大学の学園祭で展示されていた、たぶん粘土のようなもので成形した豚です。
どんな意味を持たせて造ったのかはよくわかりません・・・。
でも、よくできていますよね(笑)

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