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港は遠し

操舵長を失った漁船は夕暮れの凪の海を静かに航海している。
夕闇の訪れる向こうにゆらめく灯台の明かりや、現か。
揚げたマグロは船員たちが食べつくし、雑魚でも釣れよと、
物干し竿に結んだ糸を、垂れる。

「港はまだか・・・」

甲板でうめき声を上げる船員たち。
壊れた無線機を蹴り上げる通信技師。
船倉を無言でうろつく気象予報官。
「もうすこし、がんばろう」
副操舵長が力なく語りかける。が、頷く船長の目は泳いでいる。

燃料はまだもつと告げた機関士の言葉は目算違いだったのだろうか。
かもめが数羽、甲板の周りを緩やかに滑空して近寄っては遠ざかるが、
それを弄んで餌を投げ与える者は、最早いない。

この船にいったい何があったというのか。

つづく

追記
この記事を読んだ友人が一曲贈ってくれました。ヨーソロ~!!